美保神社 美保関は古代の港

美保神社 の祭りは海にでる! 2010年5月3日

美保神社 (みほじんじゃ)は、島根県松江市美保関町にある神社である。式内社で、旧社格は国幣中社。
事代主神系えびす社3千余社の総本社である(蛭子神系のえびす社の総本社は西宮神社)。えびす神としての商売繁盛の神徳のほか、漁業・海運の神、田の虫除けの神として信仰を集める。また、「鳴り物」の神様として楽器の奉納も多い。

美保神社 諸手船(もろたぶね)神事

ゴールデンウィークを利用しての一泊旅行となった、最初の目的地は美保神社である。鳥取県米子から弓ケ浜を北に走るとそこはいま「げげげの女房」(NHK)で再び注目を集める境港、その先の境水道を越える橋を渡るといよいよ島根県美保関町である。快晴の日本海を右に見ながら10分ほど走ると美保関港に到着、町の中心に美保神社はある。えびすさんの総本社だけにその社は大変りっぱなもので格の高さを感じさせる。ご祭神は右殿に大国主神の子の事代主神、左殿に大国主神の后の三穂津姫命が祀られている。この事代主神(ことしろぬし)があの魚釣りが趣味のえびすさんなのだが、破顔一笑の笑顔とは裏腹に悲劇の王子なのである。

出雲にとっての悲劇「国譲り」にちなんだ御祭りがここに伝わる「諸手船(もろたぶね)神事」と青柴垣(あおふしがき)神事だ。美保神社諸手船神事は、大国主命が国譲りの際に美保関の事代主命に諸手船で使者を送ったとの故事にちなみ、毎年12月3日に行なわれる。

そして国譲りの決断を大国主が息子に振ると「どうぞ」という事代主、じつはこれに承服しかねた事代主は「承知した」といいながら海に入水自決したというエピソードを忘れぬよう祭りにしたのが青柴垣神事で毎年4月7日に行われている。前者は神社主催で後者は氏子主催の御祭りであるという。いつのころから、このようなドラマティックな祭りを始めたのかは定かではないが、天孫族の併合を受け入れながら心の底深くにこの悲劇を決して忘れまいとする出雲族の精神が綿々と伝えられているのだと感じる。

ここから2kmほど先に島根半島の東端となる美保関灯台がある。西端の日御碕とならんで古代よりの海上安全を担ってきたのだろう。いまはレストランやお土産コーナーもあり多くの観光客で賑わっている。灯台の先から見渡すと海が青くひろがる、今日の美しい日本海を眺めながら、日本列島の大部分を治めていたのであろう出雲のここが中心的な地だったのかと思いを巡らせた。

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