シルクロード/クチャの歌舞と蒜山 大宮踊り 08-Jan.26
クチャとは天山山脈の南路(シルクロード)のオアシス都市の名である。このクチャの踊りと蒜山 大宮踊り が似ているというのが田村誠一氏の文章にあるという、田村説では北方遊牧民族の「月氏」が月読の一族の出自であるというものでとても興味をそそられ調べてみることにした。
県立図書館のカードをこの機会につくり「DVD:シルクロード 天山南路/音楽の旅」を借りて、みてみた。石坂浩二ナレーションによる超有名番組で、あいにく当時は興味がなくまったく見ていない奴だが、NHKスタッフと中国スタッフのチームによる「西遊記」の再現のようなものである。天山山脈を鉄道で越えタクラマカン砂漠を車で進むと、今回(僕の)の目的地「クチャ」に到着する。9世紀以降ウイグル族の領域となるが、古代においては亀茲(キジ)国といい、クチャを中心に栄えたオアシス国家で、匈奴と漢民族とのあいだで翻弄され続けてきた歴史を持つ。
このNHKの番組主旨は「このクチャで栄えた音楽文化がシルクロードを通って日本の雅楽になったのでは!」という筋書きである。たしかにここで紹介される仏教遺跡にみえる絵から、唐を通じて日本にというのは実に明快であるが、でもちょっと気になることもあった。それはウイグル族に楽器がはっきりとは引き継がれてないことなのだが、そんなこと説明しようにも僕には無理なのでやめとこう。「玄奘三蔵」に紹介されたこの国民は唄踊りに優れていたとされ、現在のウイグル族の人々がそれを復興伝承すべく歌舞団が構成されていたり、宴会や祭りなどで皆が歌い踊る風習が残っている。その中で踊りや演奏がいくつか紹介されるが、どうも「 大宮踊り 」のイメージにはつながらない。それより手のうごきが琉球沖縄舞踊の感じに近い。両手を頭上にかざして左右に伸ばし縮めるあの仕草なのだが、それは盆踊りの基本的な仕草にも通じるのだろうけど、田村氏はどう感じたのだろうか?しかし氏は蒜山在住であったのだから盆の時期にたっぷりと味わっているはずで、僕のようにWebで少々つまんで見たのとでは比べようもない。今年の夏は是非、実物を鑑賞してみようと思う。
ただ、そんな中、クチャの音楽の名人という老姉弟が紹介された。かれらは、200年くらい前の唄というのをを演奏してみせたが、その弟の担当する侘びた「太鼓」の音色は「蒜山 大宮踊り 」のそれと通ずるものがあった。専門家でない身にとってこれがどれほど似ているのか、または珍しくもないのか判らぬがその独特な響きはえも言われぬ共通項を感じる。あわせて唄のテーマも「月」ということで古代の「月氏」をイメージさせるのに充分であった。