「だってん」訪問記 06-Nov.7
岡山のカツ丼といえば全国にファンの多いB級グルメの看板メニューである。いま、吠えまくって人気のラジオ「こんちわ!こんちゃん お昼ですよ!_MBS」では「岡山といえばデミカツ丼で、その老舗は『野村のかつどん』だとアピールしてくれる。」このデミグラスソースのカツ丼というメニューは野村が発祥であることは間違いないらしい。しかし岡山人であれば周知のとおり行列ができる店は表町の「だて」と「やまと」であることに異論はないだろう。なかでも「だて」はその先代主人の強烈な個性の名残がある独特の雰囲気を持つ店だ。あの小沢昭一もそのエッセイのなかで「日本一」と絶賛する味で、その「表町(下の町)だて」直系の流れをくむ店がこの有漢町にある「だってん」である。
有漢ICより1kmほど西の道路から南へ30mほど入ったところにその店はある、車は店の横に停めるとよい。店内は主人の趣味でもある現代美術の作品が並び客を迎える。伊達さんはしばらく直島のベネッセで過ごす間、多くの美術家と親交を深めていたのだ。僕のようなその関係の人間がゆくとあれやこれやと作家とのエピソードをはなしてくれるのがまた楽しい。
もちろんカツ丼と中華そばを注文する、家内とシェアするのに丁度よい。最近カレーをメニューに加えたとのこと、3時間野菜を炒めるということなので「ソースを炒めるのとおなじだね?」というと「ソースは4時間」という答えがかえってきた。味についてはゆうことなしである、もちろん表町の昔の味とは微妙にちがうし「そば」はかなりちがうといってもよい。しかし作る人も環境も違うのだから当たり前で、引き継ぐべきはその精神だと感じる。「表町:有漢町」どちらの店も岡山人にとってのなつかしい味を守ってがんばってほしいと願う。ごちそうさま!
だってん主人 伊達さん